詩情あふれる風景の絵や花鳥画を描いた堀文子。うつろいゆく自然の姿、その中に息づく小さな命を特有の透き通った色合いと端正なタッチで描き続けた。自然、生命を生涯のテーマとしながら新境地を追い求め、70代以降もイタリア、メキシコ、ヒマラヤなど、精力的に旅をして作品を描いた。
また、「群れない、慣れない、頼らない」をモットーとし、バブル景気以降の日本人のおごりを嫌い、画壇からも距離をとりながら、一つの場所、表現、対象に安住しない孤高の旅人としての側面も持っていた。